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フィンランドの教育事情

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 2004年12月、OECD(経済協力開発機構)が実施した国際的な学力比較調査が発表されました。わが国は、数学リテラシーが前回の1位から6位と下がり、読解力は同じく8位から14位に転落しました。トップだったのはフィンランドです。このことから、現在フィンランドの教育は、諸外国から多いに注目され、海外からの視察が絶えないといわれます。
 フィンランドの教育を支えるものは、北欧の地域性、母国語を愛する土壌、教育と文化と福祉に対する手厚い保護政策、さらには図書サービスが充実していることなどです。特に、人々の読書量は高く、国民はそれを誇りにしているという文化的背景もあります。

 フィンランドのヨウニ・ヴァリジャービ教授は「フィンランドでは、『教師』は希望者の1/10 しか就業できない国民の憧れの職業です。教師はすべて大学卒業後さらに教員養成の期間が最低5年間、質の高い教員教育を受けます(日本の大学院修了レベル)。フィンランドでは長年にわたって何度も教育改革が行われてきました。現在は全国共通なカリキュラムがあるものの、自由度が高く実践する際には教師の自由裁量に任されている部分が大きいのです」と述べています。
 教育のゴールは同じところを目指しても、実際の指導はいくつも方法があって、教員は子どもの実態に適した指導を判断して行います。このように「教師」は真の教育専門家として最善を尽くすため、「どこの学校に行っても、ある一定の質の高い教育を受けられる」と国民から信頼され尊敬されているのだと思われます。

 フィンランドの教育でわが国と極めて異なるのは、9年間の義務教育の後に「もう一年履修することができる」期間があることです。将来に向けて勉強してきたけれども、まだ基礎学力が身についていないと思われる子どもが勉強する仕組みです。ただ、フィンランドの特徴的なところは、この子どもを「落第」と見ないで「他人よりも1年間長くよく頑張ったね」と賞賛し認めることです。落第が重要ではなく、留年してでも力をつけることを重視しているのです。

 学力世界一と言われる「フィンランド」では教師の「資質」と「意欲」が現在の教育を支えていると言う。最近のフィンランドの民間の調査で、高校生2000人のうち26%が将来なりたい職業に「教師」と答えていて、大学の教員養成学科は約10倍の倍率。ヘルシンキ大学教育養成担当学科のマッティ・メリ学科長は「資源がなく人口が少ないわが国は、国民の知的水準を上げることが不可欠。だから教師が重要な仕事であるという認識は自然に生まれた」と説明している。そして教育養成担当学科の学生は「この仕事の魅力は、自分自身が一生懸命勉強しながら人材を育てられること。自分の頭で考えられる生徒を育てたい」と言う。「生徒からも学び、教師が勉強し成長していくこと」は人材教育においてとても大切であり、そこに楽しみや喜び、やりがいを見出すことが出来るというのである。
 このようなフィンランドの教育に対する考えは、日本がかつて(明治、大正、昭和の前半)持っていた考えそのものである。
 「不登校」「非行」「自殺」等、日本の「教育の荒廃」という深刻な問題を目の前にしたとき、経済効率優先の政治から、福祉と教育優先の政治が優先されることを望まずにはいられない。


① 学校あたりの生徒数が少ない---- フィンランドでは40%の学校が生徒数50人以下である。生徒数500人以上の学校はわずか3%にすぎない。

②多様な職員構成---- 校長、教員、専門科目教員の他に、看護婦、学校心理学士(個々の生徒の心理的問題を適時に認知し、助言、援助を行う)、特殊教員(授業中の生徒を観察し、教員に助言したり、自分が別個に授業についていけない生徒やグループの面倒をみる)、学校アシスタント(生徒数が大きい学級にアシスタントを入れる)。

③十分な補充教員数----学校設立母体が十分な補充教員をもち、教員が病欠した場合にはすぐに代理授業が出来るため、授業の欠落が大幅に減少。

※ 以上のような教育改革がこの10年間にわたりフィンランドで実施されてきた。その結果、経済協力開発機構(OECD)が世界32カ国の15歳の生徒の総合的な学力を測る学習到達度調査(PISA)でもフィンランドはトップに立っているのである。
(参考資料『ベネッセ』)

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このページは、有松が2010年4月25日 07:56に書いたブログ記事です。

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